みなさんは納棺師という職業を知っていますか?納棺師は今まであまり世間では知られていない職業でしたが、映画「おくりびと」で注目を浴びて以来、世間に広がる職業になりました。この映画で、日々人々の悲しみに触れながら故人の旅立ちを見送る存在の重要性や尊さを感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。映画「おくりびと」を見たことがある方も、そうでない方も、映画では伝えきれていない納棺師という職業の仕事内容について、また、どうすれば納棺師になれるのかなど徹底的に解説していきたいと思います。納棺師の仕事に興味のある方、葬儀業界への就職・転職を目指している方はぜひ最後までご覧ください。目次納棺師とは?納棺師とはその名前の通り、ご遺体を棺に納めるために必要な業務をおこなう職業です。まさに、おもてなし精神のある日本人にとって、人生の最期までおもてなしを届け、故人の尊厳を守る、そんな職業といえるでしょう。葬儀の歴史は何千年と長いですが、実は納棺師の歴史は100年にも満たず、葬儀の歴史から考えると比較的新しい職種です。納棺師の仕事は大変?一般的には、単にご遺体を搬送し棺に納めるだけではなく、棺に納める前の処理や準備など、ご遺体が搬送されてから納棺されるまでの一連の業務を任されます。主な納棺師の仕事内容として以下のようなものがあげられます。ご遺体のマッサージご遺体の移動湯灌故人の身支度(死装束・死化粧)納棺湯灌、死装束・死化粧といった聞きなれない専門用語もあるかと思うので、以下で詳しく仕事内容を解説していきます。湯灌(ゆかん)湯灌とは、故人を入浴させたり、ぬるま湯で身体を拭いたりし、洗い清めることをいいます。もともと、故人の生前の悩みや悲しみなどを湯灌で洗い流し、来世の幸福を願うために、また赤ん坊のときに産湯につかるように、来世に生まれ変われるように願うために始まった儀式といわれています。ご遺族が湯灌の場に立ち会うことを希望される場合もあり、ご遺族の悲しみを直接感じながらご遺体をきれいにすることもあります。故人の最後の旅立ちを人生で一番きれいな状態にする上で、頭の先からつま先まで一つ一つ心を込めて汚れを落とし、きれいにする重要な作業です。納棺師の配慮や気遣いがご遺体に現れるので、ご遺族からの感謝や感動の言葉をいただくことも多々あります。故人の身支度(死装束・死化粧)ご遺体が安らかで美しく在ることができるよう死装束への着替え・死化粧をします。どちらもご遺族が死装束への着替えや死化粧をしてもよいのですが、ご遺体の着替えにはコツがあったり、ご遺体への化粧は顔色の調整等難しかったりするため、ご遺族のご意向をくみながら納棺師が死装束への着替え・死化粧をすることが多いです。納棺師の収入・給料は?納棺師の仕事内容を理解いただいたところで、気になる収入・給料についてご説明したいと思います。一般的には納棺師の収入・給料は300〜400万程度といわれています。ただし、人の死は不幸にも突然やってくるので、土日や祝日に出勤したり、深夜に出勤したりする回数が多いと手当がつき、400万以上の給料になることもあります。また、納棺専門の会社に勤めるのか、葬儀会社に勤めるのか、独立してフリーで働くのかによって給料には差があります。納棺師になるには資格が必要?納棺師になるための資格は必要ありません。また、学歴の条件もないのでなりたいと思えばだれでも納棺師になることができます。納棺師をされている方の多くは、納棺をおこなう会社で業務をおこないながら知識やスキルを身に着けていくことが多いです。一方で、納棺師の育成を目的とした専門学校もあり、葬祭業の基本的な知識や宗教毎の対応方法、遺体処理の方法など、納棺師になるために必要な知識を一通り習得することができます。専門学校にかかる費用は120万ほどかかりますが、専門学校を出ることで、さまざまな就職先を紹介してもらえるため費用面で問題なければ専門学校に通うことも検討してみてはいかがでしょうか。エンバーミングとの違い葬儀業界について学習中の方のなかには、エンバーミングとの違いがわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。エンバーミングとはご遺体の消毒殺菌・防腐・修復等をおこなう技術のことです。故人が海外など離れた場所で亡くなってしまい搬送までに時間がかかる場合や、事故で亡くなった場合などに円バーミングが施されることがあります。納棺師とは異なりエンバーミングを行うには一般社団法人 日本遺体衛生保全協会(IFSA)が認定する養成学校で資格を取得する必要があります。納棺師に向いている人・向いていない人納棺師は葬祭に関わる仕事の中でも、ご遺体と直接相対する機会や時間が長いので、向いていない方が納棺師になっても長く続けられない可能性があります。納棺師に向いている人の特徴として以下があげられます。精神的にタフである人お金よりもやりがいを大事にしたい人感情の切り替えができる人葬儀関連の職業というと、真面目で物静かなイメージがある方も少なくはないかもしれません。納棺師はご遺体と相対しておこなう仕事であり、またご遺族の悲しみを受け止めながら仕事をする必要があります。ただその感情をずっと引きずってしまうと自分も精神的に病んでしまい、身体を壊しかねません。加えて、納棺師は一日に4件ほど納棺の仕事をするため、その場その場で感情移入しすぎてしまうと、肉体的にも体力的にもつらい日々が続き、納棺師としての人生を長く全うすることが困難になる可能性があります。上記の点から、根は明るくポジティブな方で、感情の切り替えができ、日々悲しみに直面してもめげない精神的なタフさが必要になります。また、決して楽して稼げるような仕事ではないため、がむしゃらに働いてたくさんお金を稼ぎたいという方にはマッチしない職業かもしれません。自分がその仕事をすることでどれだけの人の感情をプラスに動かせるのか、といった自分の存在意義ややりがいを求めて仕事を探している方にとっては転職といえると思います。納棺師の将来性超高齢化社会に突入し、また葬儀の在り方も多様化した現代において、生前葬や小さなお葬式等のサービスを展開したりなど、葬儀業界もさまざまに変化しています。故人を亡くし悲しみに暮れたご遺族にとって、墓地や墓石の購入、お布施など金銭的な現実が突き付けられ、また頭を悩ましてしまうということも少なくはありません。葬儀は今後、金銭面の負担を鑑み小さな葬儀になっていくことが予想される中で、納棺師の将来性はあるのかないのか気になる方もいらっしゃると思います。人の人生において死は避けられないものかつ、この何千年もの歴史をもつ葬祭業界がある日突然なくなるということは想像することも難しいです。また景気の変動によって左右されるような業界でもありません。そのため、さまざまな業界と比べると比較的安定した業界であるといえます。また、中でも、納棺師の仕事は人に寄り添い、人の手が必要不可欠な仕事です。今後AI化が進み、多くの仕事がAIに代替される世の中になったとしても、納棺師の仕事は将来も需要のある仕事といえるでしょう。まとめ納棺師とはどんな仕事なのか、どのようにして納棺師になるのかについて説明をしてきましたがいかがでしたでしょうか。納棺師はなかなか親しみのない職種ではありますが、人の心に寄り添うことでやりがいを感じることができる仕事です。また、葬儀業界内での需要もあり将来性のある仕事といえるでしょう。この記事を読んで、少しでも納棺師の仕事に興味を持っていただけたのであれば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。お仕事が気になった場合は、アドバイザーに聞いてみよう!お仕事が気になる、話をもっと詳しく聞きたいという方はお気軽に「葬儀のおしごと」にお問い合わせください。業界に精通したアドバイザーがお仕事について詳しくご説明いたします。