皆さんはエンバーミングを知っていますか?きっと初めてこの言葉を知った人のほうが多いのではないかと思います。エンバーミングは簡単にまとめると、ご遺体を長い時間保存するための技術のことを指し、その技術を用いて処置を施す人のことをエンバーマーと呼びます。実は、皆さんもよく知っている著名人である壇蜜さんは、芸能界に入る以前に葬儀会社にてエンバーマーとして従事されていたことで知られています。決して身近な職業ではなく、その実態がわからない方も多いと思いますので、今回はエンバーミングとは何か、エンバーマーとはどのような仕事で、どうすればなれるのかなど徹底的に解説していきたいと思います。エンバーマーの仕事に興味のある方、葬儀業界への就職・転職を目指している方はぜひ最後までご覧ください。目次エンバーミングとは?エンバーミングとは遺体衛生保全と略され、ご遺体の消毒や殺菌などをおこなうことで遺体の腐敗を防ぎ、ご遺体の傷があった場合にはそれを修復する処置のことを指します。これら医学的・科学的な知識を持ち遺体衛生保全に務める人のことをエンバーマーといいます。火葬文化の日本では遺体衛生保全といわれても、何を目的におこなうのか、すぐに理解することは難しいかと思います。例えば、遠方からの遺体の搬送が必要な場合や、感染症を防止したい場合、災害などで遺体の修復が必要な場合などにエンバーミングの処置が施されます。病気や事故などの影響で、痩せこけてしまったり、場合によっては見るに堪えない状態になってしまっていることもあります。エンバーミングの処置を施すことで、なるべく生前の姿に近い形で、故人とご遺族がお別れの時間を過ごせるようにすることができるので、ご遺族の悲しみを和らげることにもつながり、故人の尊厳と残されたご遺族の尊厳を守る大事な仕事といえるでしょう。エンバーマーの仕事は大変?上記でエンバーマーの仕事の重要性はご理解いただけたかと思います。次はエンバーマーの仕事について説明していきます。主な仕事内容として以下のようなものがあげられます。ご遺体をエンバーミング施設へ搬送ご遺体の洗浄・消毒ご遺体の身支度保全液を入れるなどの施術ご遺体の着替えご遺体の化粧自宅・葬儀式場にご遺体を搬送エンバーミングは全国55ヶ所にあるエンバーミング施設のいずれかに搬送されおこなわれます。その後、消毒・殺菌などをおこない、口の縫合、排水・汚水・排泄物などの処理や、保全液・防腐液の注入などの医学的処置を施します。そしてご遺族の希望する洋服にご遺体を着替えさせ、化粧をし搬送する、というのが一連の流れになります。エンバーマーは一つ一つの作業がデリケートなので、ご遺体を扱うのは一日3件までと決まっているほど、丁寧で的確な対応が求められます。常に死と向き合い、ご遺族の悲しみを感じながらも、冷静に処置を施さなければならないという点では消して簡単な仕事ではありません。ただ、どれもエンバーマーにしかできない仕事であり、生と死を結ぶ大切な役割なので、どの仕事でも得られない大きなやりがいを感じることができます。エンバーマーの収入・給料は?気になるエンバーマーの収入ですが、一般的には300〜500万円といわれています。また、時間外手当や休日手当などの手当がある場合は、平均収入よりも高くなります。会社によって手当の内容は異なるので、エンバーマーとしての就職を希望される方は、応募する会社の手当の内容まで確認することをおすすめします。また、基本的にはノルマがない会社が多いので、日々ノルマに追われて疲弊するということは少ないのではないかと思います。エンバーマーになるには資格が必要?エンバーマーは納棺師とは異なり、資格取得が必須条件の職業です。なぜなら、ご遺体の洗浄や消毒、修復を行うことで、腐敗を防ぎ、衛生的に長期間保存できるようにするためには医学的な知識と専門的なスキルが必要だからです。一般的に、エンバーマーの資格はIFSAと呼ばれる日本遺体衛生保全協会が認定する養成学校で取得されることが多いです。養成学校は日本国内に3件(神奈川県・大阪府・福岡県)にあり、葬儀に関わる基礎知識や、遺体衛生保全における専門的な知識、実習などを学び、2年間でエンバーマーとしての必要知識・技術を学び、身に着ける必要があります。その後、資格認定試験に合格すると、ISFA認定のエンバーミング資格を取得することができます。エンバーマーの試験は難しい?エンバーマーの試験の合格率は50〜60%となっており、決して誰でも簡単に合格できるような試験ではありません。ただ、養成学校に通うことで、エンバーマーの試験に向けた勉強や実習などを学ぶことができるので、在学中にきちんと必要な知識を身に着けるよう心がけましょう。ちなみに、エンバーマーの養成学校にかかる費用は、養成学校にもよりますが、大体2年間で250~300万程かかります。決して安い金額ではありませんので、エンバーマーとしての自身の将来のために、たくさんの情報や知識・技術を在学中に蓄えることをおすすめします。エンバーマーに向いている人・向いていない人エンバーマーに向いている人の特徴として以下があげられます。感情に流されない冷静な人学習意欲のある人真摯で誠実な人エンバーマーがご遺体と直面するとき、場合によってはご遺体の状態が想像に耐えがたい姿であることもあります。そのため、感情に流されず、冷静に細かな作業をおこなう必要があります。もちろん人間なので感情を全くなくすことは難しいですが、感情をコントロールして職務を全うすることができる人はエンバーマーに向いているといえるでしょう。また、先にあげたように、エンバーマーになるには試験に合格し資格を取得する必要があります。専門的な知識を学ぶ必要があるので、エンバーマーという職業に対しての興味関心、また様々な知識を蓄えるための学習意欲を持った方はエンバーマーに向いているといえます。そしてなによりも、故人とご家族の尊厳を守り、旅立ちのお手伝いをする上で、真摯で誠実な態度は必要不可欠な要素です。責任が付きまとう仕事をしたくない、特に何かを学ぶ意欲がない、という方はエンバーマーには向いていないといえるでしょう。エンバーマーの将来性昨今の新型ウイルス感染症の世界的な流行に伴い、感染リスクの観点からご遺体と対面することがかなわず、最期の別れすら許されないケースも多々あるのが現実です。大切な人を失った悲しみに加え、最期すら看取らせてもらえないとなると、遺族は現実を受け止めようにも受けとめきれなかったり、後悔しつづけたりと、その後の毎日の日々にも悲しみを与えます。このような中で、エンバーミングによりご遺体に処置を施すことで、納得のいく形で故人と最期のお別れをできるようにするという取り組みに注目が集まっています。まだまだ、日本ではエンバーミングの需要は多いとは言えませんが、コロナ禍でエンバーミングに注目が集まっている現状を踏まえると、今後エンバーマーの需要は増加する可能性が高いといえるでしょう。まとめエンバーミングとは何なのか、どのようにしてエンバーマーになるのかについて紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。まだまだ国内では主流ではないエンバーミングですが、昨今の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受け、注目されている職業ですので、ぜひ職業選びの参考にしてください。この記事を読んで、少しでもエンバーマーの仕事に興味を持っていただけたのであれば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。お仕事が気になった場合は、アドバイザーに聞いてみよう!お仕事が気になる、話をもっと詳しく聞きたいという方はお気軽に「葬儀のおしごと」にお問い合わせください。業界に精通したアドバイザーがお仕事について詳しくご説明いたします。