「就職活動で冠婚葬祭業界を目指したいけれど、難しいのだろうか」「転職先として考えているけれど、自分は向いているのか」などの不安がある方。これから冠婚葬祭業界を目指したいならまず業界研究が大切です。人生の節目に関わる重要な業界で人に感謝される仕事ですが、実際どんな業界なのでしょうか。ここでは冠婚葬祭業界について詳しく紹介します。冠婚葬祭業界の概要、市場規模、業界トレンド、魅力、将来性、そして就職や転職の可能性について詳しく解説していきますのでぜひ最後までご覧ください。目次冠婚葬祭業界とは冠婚葬祭業界の仕事は、人生の節目にある祝い事や葬儀などのセレモニーを行う時、会場や予算の相談に乗ったりプロデュースを執り行うものです。「冠」は成人式など成長のお祝い、「婚」は結婚、「葬」は葬儀、「祭」は法事など先祖の霊を祭ることを表します。業界としては結婚式のブライダル業、葬儀・法事関係の葬祭業があります。「婚」に関わるブライダル(ウェディング)業界結婚に関係する様々な事業を展開しているのがウエディング業界です。結婚式と披露宴を開催する式場の手配や当日の進行、衣装、食事や花などはもちろん、婚活情報サービス、レストラン・ホテル運営など事業の幅は多岐にわたります。「葬」に関わる葬儀業界葬儀や祭事などの企画や執行を総合的に行う業界です。葬儀業界といった場合は墓地や墓石を扱う石材店も含むことがあります。葬祭業者と関わる火葬場や寺院、ギフト業者や仕出し屋、花屋などが含まれます。業界にはブライダル専門の会社と葬儀社がありますが、中にはブライダルも葬儀も両方取り扱っている会社もあり、互助会や地域密着の小規模な業者から上場の大企業まで様々です。冠婚葬祭業界の市場規模冠婚葬祭業界の市場規模は日本国内で約10兆円と、非常に大きなものです。人生の節目にお祝いをすることや亡くなった方を丁寧に弔い先祖を供養することは、日本人の文化で大切にされてきたことです。今後もなくなることはありません。また、近年はインバウンド需要が注目されています。特にアジア圏で日本の結婚式や葬儀に憧れが強く、コロナ禍前から外国人の京都や沖縄などでの挙式希望者は多数来日しているのです。国も外国人の挙式希望者に注目していて、経済産業省は2022年度第2次補正予算案に12億円を計上して、インバウント対応のブライダル関連事業者に費用の2分の1を支援するとしています。冠婚葬祭業界はコロナの規制緩和と円安効果で更に需要が見込まれるでしょう。冠婚葬祭業界のトレンド冠婚葬祭業界の最近のトレンドとしては、以下のようなものがあります。オンライン化の進展オンラインでの結婚式やお葬式が増えています。以前から高齢者や身障者が出席しづらい遠方の式で、オンラインの需要が高まっていましたが、コロナ渦で一気にオンライン化が進みました。式の様子をオンラインシステムで見ることができ、結婚式のお祝い金や葬儀の香典などはオンライン決済で渡し、オンラインメッセージも送れます。親族以外の友人達も服装を気にせず参列できるので、需要はこれからも増えそうです。環境に配慮した取り組みの増加SDGsに取り組む企業が増えています。今や冠婚葬祭業界も環境問題に取り組むことは当たり前になりました。実際の例をご紹介しましょう。「サステナブルウエディング」ではこんな配慮をしています。披露宴の食事をオーガニックにする招待状をWeb化したり再生紙で作るウエディングドレスを譲り受けて着たりリメイクする会場を飾った花をゲストが持ち帰る引き出物を紙の手提げや風呂敷で包んで渡す環境に配慮した葬儀として、提案している例は次のようなことです。火葬で出るCO2削減のため棺を木製から紙製にする不要になった供物(祭壇飾り等)を分別回収してリサイクルする祭壇の飾り花を切って棺に入れる送り花を作るその他にも事務所や会場の節電のためのLED化や低公害車両の使用など、環境への配慮は冠婚葬祭業界でも進んでいます。デジタル技術の活用冠婚葬祭業界にもDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が来ています。効率の良いサービス展開にはデジタル技術の活用が重要です。顧客管理システム顧客対応をスムーズにする、管理システムの導入企業が増えています。一度問い合わせをした人の情報を登録し共有することで、次の問い合わせに社内の誰でもスムーズな対応ができるシステムです。顧客情報の一元管理は冠婚葬祭業界でも基本です。人数が少ない時でもサービスの低下を防ぐため必要なのは、セキュリティの配慮がされた情報共有でしょう。特に葬儀の場合家族が亡くなって気が動転していると、名前や電話番号さえうまく話せない人がいます。このシステムでは一部の情報が分かれば、登録した名前や以前話した内容が分かるためスムーズな対応ができます。働く側にも顧客側にもやさしいシステムです。QRコードの活用スマートフォンを利用したQRコードでのサービスが広がっています。口頭での案内の不確かさや道順の下調べの面倒を取り除いたり、思い出の共有がしたいなどのニーズに応えられるツールです。QRコードをスマートフォンで読み込むことで、結婚式会場や葬儀の葬祭場への地図を表示したり、デジタル写真集にアクセスできるサービスなどが可能になります。QRコードは企業の宣伝に利用するだけでなく、個人でも有効に活用できるのです。進化したデジタル映像技術結婚披露宴も葬儀会場も近年はデジタル映像を利用するサービスが増えています。実物の写真や飾りを使うよりも手間がかからず片づけも簡単です。結婚披露宴の場合はウェルカムボードにデジタルサイネージを使ったり、プロジェクションマッピングで会場を盛り上げたりと華やかな演出ができます。葬儀場では案内板をデジタルサイネージで設置し、祭壇の遺影もデジタル写真なので設置が楽になりました。メディアにデータを用意するだけなので、利用しやすいサービスです。新しい形のサービスの提供予算に合わせたウエディング「すべての人に もっと自由なカタチの結婚式を」と提案する「エニマリ」があります。これまでの結婚式は挙式披露宴会場側がプランを用意して金額を提示し、利用する場合がほとんどでした。「エニマリ」は広告宣伝費を抑えたことで安くサービスを提供し、「会費婚」などのこれからの時代のニーズに合わせた新しい方式を提案しています。結婚式はついお金を使いがちですが、これからの生活や新居に使うお金を考えて結婚式のプランを練るカップルには理想的なサービスです。挙式せずに結婚し子どもがいる夫婦や、家族だけでの挙式など、規模や目的、予算に合わせたウエディングは今後も必要とされるでしょう。デジタル献花サービスデジタル献花サービスとは実物の生花ではなくWebで献花ができるシステムです。遠くにいる人が葬儀に花を手向けたい時や、それほど親しくないけれど弔意を表したい時、ご遺族に負担にならない良い方法でしょう。これは阿部元首相の四十九日のために若手経営者ら有志が無料で行ったサービスで、1か月余りで52万件以上の献花がありました。(安倍元総理デジタル献花プロジェクト)現在は一般向けのサービスはないようですが、今後の新しい弔問方法として注目したいものです。新しい弔い「安置葬」葬儀場と遺体安置所を兼ね備えた葬祭施設「想送庵カノン」は東京都葛飾区にあり、「安置葬」という新しい弔い方を提案しています。会社関係や地域社会の大きな葬儀より、家族葬や一日葬など小さく簡素化した葬儀が増えていますが、家族以外が参列できない葬儀には問題もあります。家族以上に付き合いのあった友人がお別れに参列できないことです。「安置葬」は亡くなった故人と家族や友人が、納得してお別れするために共に時間を過ごすことを目的としています。以前のお通夜のように故人の思い出を語り合ったり、会食をして心置きなくお弔いができるのです。葬儀は簡素化やコストダウンに進むだけではなく、心の平穏のための新スタイルも生まれています。冠婚葬祭業界の魅力冠婚葬祭とは人生の一大イベントです。輝かしいお祝いや人生の終幕の時を支えるお仕事は、他にはない緊張感と充実感があります。結婚披露宴が盛況だったと感謝されたり、葬儀のご遺族に寄り添い御礼の言葉をもらったりすると、人の役に立てた喜びが湧くものです。冠婚葬祭の場はしきたりがありますし、主役やお客様に気持ちよく過ごしていただくには、接遇マナーが大切になります。仕事をしながらマナーが学べるので、公の場で困ることはなくなるでしょう。冠婚葬祭業界の就職の難易度は?冠婚葬祭業界への就職は、特に難関というほど難易度は高くありません。経験者はマナーやしきたりの知識があり優遇される場合がありますが、未経験者の方が多く応募してくる業界です。未経験者の採用に積極的な会社が多くあります。結婚式や葬儀など特別なセレモニーに関わる責任感が大切な仕事です。貴重な人材にはしきたりやマナーを覚えて続けて勤めてもらいたいのです。業界や職種への興味関心が高い人が求められます。冠婚葬祭業界で働く意欲とやる気をアピールすれば採用される場合が多いです。共通してどんな人が向いているか?実際に勤めている人へのアンケートでは、次のような人が向いていると回答がありました。一仕事こなした達成感を感じたい人人から感謝される実感を得られる仕事が好きな人人とコミュニケーションを取るのが好き・苦にならない人責任感が強く自己管理の大切さがわかる人臨機応変に柔軟な対応ができる人他にも仲間と協力できる人や、丁寧に一つずつ仕事をこなしていける人などがあげられています。冠婚葬祭業界の会社を見つける方法どのような求人が出ているか探すには、次のような方法があります。求人情報誌で探す転職エージェントで紹介してもらうそれぞれの方法について、メリット・デメリットを見てみましょう。求人情報誌で探すメリット・デメリット求人情報誌を使うと、ネットでキーワードで検索すると見落としてしまう知らない業界の仕事も、紙をめくることで目に留まることがあります。また、紙の冊子であることで、かさばる欠点もあります。その他、以下のようなメリットとデメリットがあります。メリット自分のスケジュールで就職活動を進めることができるスケジュールを自分の都合である程度コントロールできるのが、求人情報誌を使った就職・転職活動です。自分からアプローチして求人を出している企業とアポイントを取るので、忙しい時期は活動を抑えることができます。就活も転職も、現在の生活があった上で仕事を探しますので、積極的に動ける時期に求人へ応募したいものです。仕事探し以外に忙しい人には、管理のしやすさはおすすめです。多くの求人と比較しながら進めることができる求人情報誌を使うと同じ地域、同じ業界の仕事はもちろん、気になっている仕事があればゆっくり比較が可能です。求人情報誌の求人は企業がお金を出して掲載しているため、ある程度応募者が溜まるまで待つことがあります。求人情報誌では条件や仕事内容について様々な企業の例が見られることで、最近の求人の傾向を知ることができるのが魅力でしょう。時間的に余裕がある仕事探しならば、求人情報誌は良いツールです。記事を読んで共感したり興味を持った会社に応募できる求人情報誌の魅力は、各企業がアピールのために掲載した企業紹介です。紹介記事によってこれまで知られなかった業界に応募してもらいたいので、各企業紹介記事の内容に力を入れています。仕事をする上で多くの給与を得られることは大切ですが、共感をもって働けるか、職場の雰囲気が良いかなどの環境も大切でしょう。企業名やデータだけでは見えない人柄や環境に惹かれる人には、分かりやすい方法です。デメリット条件や詳しい仕事内容などを知ることができない掲載企業へ問い合わせない限り、詳しい条件や仕事を知ることは難しくなります。求人情報誌は掲載できる内容に限りがあり、フォーマットにない内容はなかなか記載できませんし、変更があっても印刷物なので内容は更新できないのです。中には募集のルールとして年齢や性別などで制限を表記できないけれども、職場内の人数バランスから雇用側が意図した条件があるかもしれません。本当に自分に合う求人なのか分からないので、受からないことも多くなります。探し方が分からないなど、探す手間がかかる求人情報誌に慣れていないと、自分の欲しい情報をなかなか見つけられないことがあります。ネット検索が当たり前になって辞書を引くことも減りましたから、紙の冊子のルールに戸惑う人もいることでしょう。無料配布の求人情報誌だと地域密着型の求人が多いので、全国区やグローバルな会社を探しているならお門違いなメディアです。手に入れた求人情報誌が自分に合っているかの判断も必要になります。自分に適性があるかどうか判断が難しい求人情報誌に掲載された求人が、自分の能力や適性に合うかどうかは自分で考えるしかありません。応募してみるまでは求人している企業の意図は分かりませんし、本当にその仕事に向いているかを自分で判断するのは難しいものです。自分のやりたい職業が決まっていてその業界しか考えられない人や、ネットの適職診断ツールであたりが付く人なら、迷わず応募も良い選択でしょう。個人で適職かどうかの判断をするのは、迷うことですし難しいことです。転職エージェントで紹介してもらうメリット・デメリット転職エージェントは求人をしたい企業と転職したい労働者の橋渡しを行います。転職を希望する人には担当が付き、転職にあたっての相談やアドバイスをしてくれるのです。転職エージェントの利用にもメリットとデメリットはあります。メリットエージェントが希望に沿った求人を紹介してくれて手間が省ける転職エージェントは登録者の希望する内容から、持っている求人を選んで紹介してくれます。求人情報誌に載せないような求人や、条件に合った登録者を紹介してもらいたい企業からのオファーが揃っているのです。転職エージェントの担当者は登録者と面談し希望を聞き出し、適職診断をして条件に合う求人を紹介しますから、自分で合うかどうか調査する手間が省けます。応募する企業の研究に手が回らない忙しい人には良いサービスです。仕事内容や待遇面など気になることがあればすぐに相談できるオファーの内容で分からないことや気になることは、担当者に確認すれば分かります。条件をすり合わせて企業側と登録者双方に良い結果になるよう動くのが、転職エージェントの役目です。直接企業の担当者に条件を交渉しなくて良いので、勤めることになっても気まずい思いをせずに済みます。譲れない条件があったり少しでも良い待遇で転職したいならば、転職エージェントを活用したいものです。面接や聞き取りで適性に合った仕事を紹介してもらえる登録するにはまず面接や適職診断を受け、その内容から仕事を紹介してもらえます。登録者のスキルを明確にし本人にも適性を把握できるようにして、初めて本人の希望が向いているかも分かってくるのです。自分勝手な思い込みで避けていた仕事が向いている可能性がありますし、自分だけで探すよりも効率よく転職先が見つかるでしょう。自分の適職が分かっていないなら利用することをお勧めします。デメリットエージェント会社が取り扱っていない求人は紹介してもらうことができないその人に合っている取り扱い案件がなければ紹介を受けられません。エージェント会社によって業界や相談者の年齢、経験した仕事などで向き不向きがあり、登録した会社によって希望に合う求人の集まり方が違うのです。スキルを必要な経理などは別として一般の事務職などは、エージェントに依頼することが少ない仕事なので、登録を断られることもあります。転職エージェントに登録する時は、その会社の強い業界や案件の集まりやすい職種を調べてから依頼する方が良いでしょう。スケジュールを自分の希望通りに進められないことがある転職スケジュールが自分の希望する通りに進まない場合があります。転職エージェントへの登録はいつでも行えますが、求人がいつあるかはすぐに分かりません。場合によっては適任なオファーを長期間待つ場合もあります。またオファーがあるとすぐ人手が欲しい時に待たせるのは限界があり、引継ぎや退職のタイミングが都合よく行かないかもしれません。自分主導で仕事探しをしない分、都合が通らないかもしれないことを頭に入れておきましょう。まとめこの記事では冠婚葬祭業界の就職活動に必要な、業界研究の情報をまとめて紹介しました。人生の節目にセレモニーを行う風習は個々の心情を大切にするやさしさの詰まったしきたりです。少子化が進み村社会よりも個人の生活が優先されてきて、コロナ渦を期に冠婚葬祭業へ逆風が吹いたことは確かですが、人と繋がっていたい人々に、これからも尊重されて行くでしょう。また、今後の課題はありますが、新しい世代の試みで成長する可能性の大きい業界です。普段あまり目に触れないけれども非常に身近で、お客様から感謝されるやりがいのあるお仕事です。採用にも積極的な企業が多いので、真面目に冠婚葬祭業界に就職したい、業界内の職種に就いてみたいという意欲的な方には、門戸が広く開いているでしょう。ぜひ挑戦してください。お仕事が気になった場合は、アドバイザーに聞いてみよう!お仕事が気になる、話をもっと詳しく聞きたいという方はお気軽に「葬儀のおしごと」にお問い合わせください。業界に精通したアドバイザーがお仕事について詳しくご説明いたします。