納棺師は、ご遺体をきれいに整え、遺族が安心して故人とお別れできるようにサポートする大切な仕事です。しかし「どれくらいの給料がもらえるの?」「将来性はあるの?」と気になる方も多いでしょう。本記事では、納棺師の仕事内容や職場環境、実際の給与相場、給料アップの方法、そして今後の需要について詳しく紹介します。仕事として考える上で役立つ情報を、分かりやすくお伝えしていきます。納棺師とは納棺師とは、亡くなった方の体をきれいに整え、納棺(棺に納める)する専門職です。テレビや映画で取り上げられることもあり、名前は聞いたことがあるという方もいるでしょう。納棺師の仕事は、単に体を扱うだけでなく、ご遺族の気持ちに寄り添い、最後のお別れの時間を丁寧につくるという意味でも重要な役割を担っています。葬儀の準備の一環として動くことが多く、葬儀会社や専門業者に所属している場合がほとんどです。働く時間や仕事内容は少し特殊で、深夜や早朝に呼ばれることもありますが、それだけに感謝される場面も多く、やりがいを感じられる仕事でもあります。納棺師の仕事内容納棺師の主な仕事は、亡くなった方をきれいに整えて、棺に納める「納棺の儀式」を行うことです。具体的には、体を拭いたり、衣装を整えたり、髪型を整えるなど、故人が安らかな姿で旅立てるよう丁寧に準備をします。必要があれば、化粧を施すこともあります。また、ご遺族が納棺に立ち会うケースも多く、納棺師はその場で説明をしながら、落ち着いた進行をすることも求められます。悲しみの中にあるご家族の心に寄り添うため、技術だけでなく、言葉遣いや気配りも重要です。このように、単なる作業ではなく、「人と心を通わせるサービス業」としての一面もあるのが、納棺師の仕事の特徴です。納棺師は納棺するだけの仕事ではない納棺師と聞くと、「遺体を棺に納めるだけ」と思われがちですが、実際にはそれ以上の役割を担っています。たとえば、ご遺体が搬送されてきたときの対応や、納棺の準備に必要な物品の確認、式場での段取り確認など、周囲との連携も含めて多くの業務があります。さらに、ご遺族が不安や悲しみに包まれている中で、心の支えになる存在として話を聞いたり、式の進行をサポートしたりといった仕事も行います。中には、エンゼルケア(体をきれいにする処置)を行うこともあり、医療や介護の知識が活きる場面もあります。つまり、納棺師は納棺の技術者であると同時に、接客やサービスのプロでもあるということです。納棺師はどこに所属している?納棺師として働くには、必ずしも一つの決まった職場があるわけではありません。働き方にはいくつかのパターンがあり、大きく分けて「葬儀会社に勤務する」「納棺を専門とする会社に所属する」「個人で業務委託として働く」の3つがあります。それぞれに仕事内容や働き方、給与の仕組みも少しずつ違います。たとえば、会社員として安定した収入を得られる環境もあれば、フリーランスのように自分のスケジュールで動く働き方もあります。ここからは、納棺師が所属する主な3つの働き方について、詳しく見ていきましょう。葬儀会社もっとも多いのが、葬儀会社に勤務するパターンです。地域密着型の中小企業から、全国展開している大手企業までさまざまあります。葬儀会社の社員として働く場合、納棺だけでなく式全体のサポートに関わることも多く、幅広い知識とスキルが求められます。納棺のほかに、式場の準備、参列者の案内、ご遺族への対応なども担当することがあり、「葬儀全体を支える一員」として動くことになります。勤務時間はシフト制が多く、夜間や早朝の対応もある一方で、安定した給与や社会保険などの福利厚生が整っているのがメリットです。また、大手企業ではキャリアアップ制度や資格取得支援があるところもあり、長く働くことを見据えている方に向いています。納棺の専門業者納棺の儀式だけを専門に行う業者も存在します。こうした会社に所属する納棺師は、葬儀会社からの依頼を受けて現場に出向き、納棺を担当します。専門業者に勤める場合、納棺の技術に特化した仕事が中心になるため、より深い専門性が求められるのが特徴です。勤務形態は業務ごとのシフト制が多く、日によって勤務時間や場所が変わることもありますが、複数の葬儀会社から依頼を受けて動くため、現場経験を豊富に積めるのが大きな強みです。給与面では歩合制や出来高制を採用している会社もあり、自分の働き次第で収入が変動するケースもあります。納棺師としての腕を磨きたい方や、専門職として成長したい方に適した働き方です。業務委託(個人)近年では、フリーランスとして個人で活動する納棺師も増えてきています。業務委託として葬儀会社や納棺専門業者と契約し、必要なときだけ依頼を受けて現場に出向くというスタイルです。この働き方は、時間や場所に縛られにくい自由さがある一方で、収入は不安定になる可能性があります。毎月の仕事量によって収入が変わるため、安定を重視する人には不向きかもしれません。しかし、経験を積んだ納棺師や信頼を築いている方であれば、自分のスキルや人脈を活かして高収入を目指すことも可能です。また、自分のやり方で仕事を進められるため、独自のサービスやスタイルを確立しやすいのも特徴です。納棺師の給料納棺師は専門職であるため、特別なスキルが必要です。しかしその一方で、「どれくらいの給料がもらえるのか」は気になるところでしょう。実際のところ、納棺師の給料は働く場所や雇用形態、経験年数によって大きく異なります。ここでは、納棺師の平均給与、ボーナスの支給状況、そして勤め先による給料の違いを詳しく紹介していきます。仕事のやりがいや社会的な意義だけでなく、収入面でも納得して働けるかどうかを見極めるために、参考にしてみてください。納棺師の平均給与額納棺師の平均年収は、おおよそ 300万円〜400万円前後 といわれています。月給に換算すると、25万円前後が相場です。これは日本の平均年収と比較すると、やや低めの水準ですが、働き方や地域によって差があるため一概には言えません。たとえば、大都市圏では需要も高く、葬儀の件数も多いため、経験者であれば年収500万円を超えるケースもあります。一方で、地方の小さな葬儀社では月給20万円以下からのスタートもあり得ます。また、正社員かアルバイトか、業務委託かでも金額は変わってきます。業務委託であれば1件ごとの報酬制が多く、1件あたり1万円〜2万円程度が相場です。フルタイムで多くの件数をこなせば高収入も目指せます。納棺師のボーナスの平均支給額納棺師のボーナス(賞与)は、勤務先の企業規模や制度によって大きく変わります。大手の葬儀会社に勤めている場合、年2回のボーナスがあることが多く、1回あたりの支給額は1ヶ月〜2ヶ月分の給与相当が一般的です。一方で、中小の葬儀社や納棺専門業者では、賞与がなかったり、業績に応じてごく少額しか支給されないケースもあります。アルバイトや業務委託契約の場合は、基本的にボーナスは支給されません。また、業績や評価によって変動する成果報酬型の制度を取り入れている会社もあり、件数が多く、評価が高い人ほどボーナスが増える仕組みのところもあります。安定したボーナスを望むなら、大手企業への就職や正社員としての雇用がカギになります。勤めている会社によって差がある納棺師の給料は、勤め先の会社によって大きく異なります。まず大手の葬儀会社では、基本給に加えて残業手当・夜勤手当・資格手当などが支給されることが多く、福利厚生もしっかりしています。このような企業では、年収400万円〜500万円台になることも珍しくありません。一方、地域の小規模な葬儀社では、人手不足や経営規模の小ささから、給料が低めに設定されている場合があります。初任給が月18万円前後という例もあり、手当も少ないことが多いです。また、専門業者や業務委託の場合は「件数×単価」で収入が決まるため、繁忙期には大きく稼げても、閑散期は収入が落ちるリスクもあります。安定性を重視するか、収入の上限を高く狙うかで、どの働き方を選ぶかが変わってきます。納棺師の給料は低い?納棺師の給料は、一般的に「低い」と言われることがあります。これは葬儀業界全体の給料水準が他の業界と比べて低めであるためです。しかし、納棺師としてのスキルや経験を積み、手当や資格を取得することで収入アップも可能です。この章では、納棺師の給料が低いと言われる理由や、他業種との比較を紹介します。葬儀業界全体の給与と納棺師の給与の差はない納棺師の給料は、葬儀業界全体の給与水準とほぼ同じです。つまり、納棺師だけ特別に給料が低いわけではなく、葬儀業界の賃金が全体的に控えめな傾向があります。これは業界の規模や経営体力、需要の安定性などが影響しています。葬儀業界は専門的な仕事ですが、利益率が低いことや、葬儀費用の価格競争が激しいことから、給料に反映しづらい現実があります。したがって、納棺師であっても平均的な給与は、葬儀業界の他の職種と大きな差はないことが多いです。葬儀業界と他の業種を比べると低い納棺師の給料は、葬儀業界全体の給与水準とほぼ同じです。つまり、納棺師だけ特別に給料が低いわけではなく、葬儀業界の賃金が全体的に控えめな傾向があります。これは業界の規模や経営体力、需要の安定性などが影響しています。葬儀業界は専門的な仕事ですが、利益率が低いことや、葬儀費用の価格競争が激しいことから、給料に反映しづらい現実があります。したがって、納棺師であっても平均的な給与は、葬儀業界の他の職種と大きな差はないことが多いです。給料をあげるには納棺師の給料を上げるためには、単に勤務年数を重ねるだけではなく、スキルアップや資格取得などの努力が必要です。ここでは、給料アップの具体的な方法を3つ紹介します。葬儀業の他の業務も覚える納棺師として働きながら、葬儀の他の業務を覚えることは給料アップに繋がります。例えば、葬儀の進行管理を行う葬祭ディレクターの仕事や、営業、事務など多様な業務を経験すれば、会社からの評価が上がり昇給や昇格のチャンスが増えます。複数の業務ができることで、会社から必要とされる人材となり、給料もそれに応じて上がりやすくなります。また、自分のキャリアの幅を広げることにもなり、将来の独立や転職にも役立ちます。認定資格を取得する資格取得も給料アップの大きなポイントです。納棺師としての技術や知識を証明する認定資格がある場合、取得することで専門性を示せます。資格を持っていることで、会社からの信頼が増し、手当が付く場合や昇給の対象となることがあります。また、資格を持つことで高い技術を必要とする案件を任されやすくなり、結果として給料が上がる可能性が高くなります。特に、終活カウンセラーや葬祭ディレクターの資格と合わせて持つことで、より幅広く活躍できるでしょう。納棺師としての経験を積む経験を積むことも大切です。長く働くほど仕事の質が上がり、効率もよくなります。経験豊富な納棺師は、会社から重宝されるため、給料が上がることが多いです。また、経験豊かな納棺師は新人の指導役を任されることもあり、リーダーや管理職に昇進するチャンスも増えます。管理職になれば基本給や手当が大きく上がり、収入アップにつながります。経験は給料だけでなく、仕事の満足度や社会的な評価にも影響するため、長く続けるメリットは大きいと言えるでしょう。納棺師の将来性納棺師の仕事は、人がいる限りなくなることはありません。人が亡くなる限り、納棺師の役割は常に必要とされます。さらに、納棺師の仕事は機械やAIに置き換えられにくい分野です。なぜなら、納棺師の仕事は単なる作業ではなく、故人への敬意や細やかな心遣いが求められるからです。この章では、納棺師の仕事の将来性について詳しく解説します。人がいる限り無くなることはない納棺師の仕事は「人の死」という人間の生活の一部に深く関わっているため、今後も無くなることはありません。人口が減少しても、人が亡くなる数は一定数あり続けます。また高齢化社会が進む日本では、葬儀や納棺の需要は安定しているため、納棺師の仕事は安定的な職業の一つといえます。終わりのある仕事ではなく、これからも長く続けられる職業です。AIや機械へ据え変わることも無い近年はAIやロボットの発達で多くの仕事が自動化されていますが、納棺師の仕事はその対象にはなりにくいです。納棺師の仕事は、故人への細かな配慮や心遣いが大切なため、感情や人間性が求められる仕事だからです。機械では故人に対する敬意や、ご遺族の気持ちを理解し、寄り添うことができません。そのため、納棺師の仕事は今後も人間が担う必要があり、安定した職業として期待されています。まとめ納棺師は、故人やご遺族に寄り添う大切な仕事であり、葬儀業界の中でも専門性が高い職種です。給料は葬儀業界全体と同じく平均的ですが、他の業務を覚えたり資格を取得したり、経験を積むことで収入アップが可能です。将来的にも人がいる限りなくならない職業であり、AIに置き換わることもありません。納棺師の仕事は大変な面もありますが、社会的な役割ややりがいが大きい仕事です。今後も必要とされ続ける仕事として注目されています。お仕事が気になった場合は、アドバイザーに聞いてみよう!お仕事が気になる、話をもっと詳しく聞きたいという方はお気軽に「葬儀のおしごと」にお問い合わせください。業界に精通したアドバイザーがお仕事について詳しくご説明いたします。