大切な人を見送るとき、「どんな葬儀があるのか分からない」と戸惑う方もいるでしょう。最近では、家族葬や一日葬、直葬など、さまざまな形式が増えてきています。この記事では、代表的な葬儀の種類を分かりやすく解説し、それぞれの違いや特徴、費用の目安までご紹介します。また、どんな基準で選べばよいか、判断するためのポイントもわかりやすくまとめました。自分や家族に合った葬儀の形を見つけるために、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。葬儀の種類と全体像をご紹介葬儀にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴や流れがあります。もっとも一般的な「一般葬」は、親族だけでなく友人や近所の方など幅広い人が参列する伝統的な形式です。一方、「家族葬」は家族や親しい人だけで行う、小規模で落ち着いた雰囲気の葬儀です。最近では「一日葬」や「直葬(火葬式)」のように、時間や費用を抑えた新しい形も増えてきました。葬儀を選ぶ際は、故人の意志や家族の考え、費用のバランスなどを考えることが大切です。まずは代表的な4つの葬儀の基本を知ることで、きっと自分たちに合ったお見送りの形が見つかるはずです。一般葬とは?一般葬とは、故人の家族だけでなく、友人、近所の人、仕事関係の人など、多くの人が参列する昔ながらの葬儀形式です。通夜と告別式の2日間をかけて行うのが一般的で、祭壇を飾り、僧侶に読経してもらうことが多いです。香典をいただく場面も多いため、参列者が多いぶん、準備や当日の対応はより大変になる傾向があります。一般葬のメリットは、たくさんの人に見送ってもらえるため、社会的なお別れの場として適している点です。ただし、費用が高くなりやすいことや、参列者の数に応じて会場の広さなども考えなければならないのがデメリットです。最近は家族葬や一日葬を選ぶ人も増えていますが、昔ながらの丁寧なお別れを望む方には、一般葬が向いているといえるでしょう。家族葬とは?家族葬とは、故人の家族やごく親しい友人など、限られた人たちだけで行う小さなお葬式です。通夜と告別式は一般葬と同様に行われることが多いものの、参列者が少ないため、会場は小規模で済み、全体的に落ち着いた雰囲気となるのが特徴です。ゆっくりと故人と向き合いながら過ごせる点が特徴です。家族葬のメリットは、気を使わずに家族中心でお別れができることです。また、会場や飲食費などが抑えられるため、費用も比較的少なくなります。ただし、後日「参列できなかった」と感じた知人や親族から連絡が入り、個別の対応が必要になるケースもあります。とはいえ、「静かに見送りたい」「シンプルに行いたい」と考える方には、最適な葬儀形式と言えます。一日葬とは?一日葬とは、その名の通り、通夜を行わず、告別式と火葬を1日でまとめて行う葬儀の形です。高齢の方や遠方からの親族が集まりにくい場合にも適している点から、近年選ばれることが増えてきました。流れとしては、朝に告別式を行い、そのまま火葬場へ向かうというシンプルな形式です。一日葬のメリットは、時間と費用を抑えられることです。準備も少なく、参列者の負担も軽減されます。ただし、通夜がないため、「もっとゆっくりお別れしたかった」と感じる人もいるかもしれません。また、僧侶を呼ぶ場合の宗教的な配慮も必要です。一日葬は、現代のライフスタイルに合った新しい選択肢の一つです。直葬・火葬式とは?直葬(ちょくそう)または火葬式とは、通夜も告別式も行わず、火葬のみを行う最もシンプルな葬儀形式です。身内だけで、限られた時間の中で故人を送り出す形であり、費用や準備の負担が非常に少ないのが特徴です。宗教的な儀式をあまり重視しない方や、事情により簡素に済ませたいと考えるご家族に選ばれています。直葬のメリットは、短時間で済むため精神的・金銭的な負担が軽くなることです。また、火葬場の予約が取れれば、スムーズに日程を組めるのも利点です。ただし、あまりにも簡素なため、後になって「もっと何かしてあげればよかった」と感じる人もいます。直葬は、故人や家族の価値観を尊重した上で選ぶことが大切です。葬儀の種類を選ぶ前に考えるべきこと葬儀の形式を決める前に、いくつか考えておきたいことがあります。まず大切なのは、故人が生前にどんな希望を持っていたかを思い出すことです。「にぎやかに送ってほしい」「家族だけで静かに」といった意志があれば、それを尊重するのが一番です。次に、家族や親族同士でしっかり話し合うことも大切です。意見が食い違うこともあるかもしれませんが、全員が納得できる形を見つけることが、後悔のないお別れにつながります。また、参列してもらいたい人の人数や、葬儀にかけられる予算についても現実的に考えましょう。費用や日程など、いろんな要素を整理することで、よりよい選択がしやすくなります。家族・親族の意向と話し合いの重要性一般葬は、多くの人が参列できる伝統的なスタイルの葬儀です。家族や親戚だけでなく、近所の方や会社の同僚、友人など、故人と関わりのあった人たちが広く参加し、お別れをします。通夜と告別式の2日間を使って丁寧に儀式が進められるため、「しっかりと見送りたい」という方には適した形式です。また、香典や供花のやりとりなど、葬儀ならではの儀礼を重視する方にも向いています。ただし、参列者が多くなるため、会場や飲食、返礼品などの準備も必要になります。そのぶん費用や手間は大きくなる傾向がありますが、社会的なお別れの場としての意味も大きい葬儀です。主要な葬儀の種類の特徴を詳しく解説ここでは、代表的な4つの葬儀スタイルについて、より詳しく見ていきましょう。それぞれの特徴や流れ、良い点や注意すべき点、そして費用の目安なども合わせて紹介します。形式によって準備や対応のしかたが大きく異なるため、「どれを選べばいいか迷っている」という方は、自分たちの希望や事情と照らし合わせながら読み進めてください。大切なのは、故人への想いを形にできるスタイルを見つけること。ご家族にとって納得のいくお見送りとなるよう、葬儀ごとの違いを正しく理解しておくことが大切です。【一般葬】昔ながらの、故人を知る皆で送るお見送り一般葬は、多くの人が参列できる伝統的なスタイルの葬儀です。家族や親戚だけでなく、近所の方や会社の同僚、友人など、故人と関わりのあった人たちが広く参加し、お別れをします。通夜と告別式の2日間を使って丁寧に儀式が進められるため、「しっかりと見送りたい」という方には適した形式です。また、香典や供花のやりとりなど、葬儀ならではの儀礼を重視する方にも向いています。ただし、参列者が多くなるため、会場や飲食、返礼品などの準備も必要になります。そのぶん費用や手間は大きくなる傾向がありますが、社会的なお別れの場としての意味も大きい葬儀です。一般葬の特徴と具体的な流れ一般葬では、まず1日目に「通夜」を行い、2日目に「告別式」と「火葬」が行われるのが一般的です。会場は葬儀場や寺院、公民館などが使われ、故人の宗教や宗派に応じて僧侶などが読経を行います。通夜では、焼香をしながら故人との最後の時間を過ごします。翌日の告別式では弔辞や読経、遺族の挨拶などが行われ、最後に出棺・火葬となります。儀式がしっかりと組まれているため、段取りに沿って進行しやすい反面、喪主や遺族は行うべきことが多くなります。慣れていないと負担に感じることもあるため、信頼できる葬儀社との連携が大切です。一般葬のメリットとデメリットメリットとしては、何よりも多くの方に故人を見送ってもらえることです。「お世話になった人たちにきちんと挨拶をしたい」「社会的に送り出したい」と考える場合には最適です。また、宗教的な形式も重視されるため、慣習に則った安心感もあります。一方でデメリットは、準備や対応の手間、そして費用の負担が大きくなることです。参列者への返礼品や料理、祭壇なども含めると数十万円〜100万円以上かかることもあります。スケジュール調整や式場の確保も含めて、しっかりと計画する必要があります。一般葬の費用相場と内訳のポイント一般葬の費用は地域や会場、内容によって大きく異なりますが、全国平均で約90〜120万円程度が目安とされています。この金額には会場費、祭壇費、僧侶へのお布施、返礼品、飲食費などが含まれます。内訳としては、祭壇にかかる費用が20〜30万円、料理が10〜20万円、返礼品が10万円前後になることが多く、僧侶へのお布施も数万円〜十数万円が相場です。香典を受け取ることで費用の一部を補えることもありますが、その場合は香典返しの準備も必要です。細かな内訳を葬儀社に確認して、見積もりをしっかり取ることが大切です。【家族葬】家族や親しい友人だけで行う静かなお見送り家族葬は、親族やごく親しい友人など、限られた人だけで行う小規模な葬儀です。最近ではこのスタイルを選ぶ人が増えており、「静かに見送りたい」「形式ばったものは避けたい」という想いに合った葬儀といえます。通夜と告別式の2日間を使って行われることが多いですが、会場もコンパクトで、儀式もシンプルに進められます。参列者が少ないぶん、遺族の精神的・金銭的な負担も比較的軽くなる点が魅力です。一方で、葬儀を終えたあとに「なぜ呼ばなかったのか」と外部から言われることもあるため、周囲との関係性にも配慮が必要です。家族葬の特徴と具体的な流れ家族葬は、基本的には一般葬と同じく2日間の流れで進められます。1日目に通夜、2日目に告別式と火葬が行われます。ただし参列者が限られるため、進行も比較的スムーズで、静かな雰囲気の中で式を行えるのが特徴です。会場は小規模なホールや自宅を使うこともあり、家族の負担が少ないのもポイントです。読経などの儀式は省略せずに行うケースも多く、宗教的な意味合いも保てます。形式にはこだわらず、想いを込めた時間を過ごしたい方に向いています。家族葬のメリットとデメリット家族葬の最大のメリットは、故人様とゆっくり向き合える静かな時間を確保できる点です。参列者の数が少ないため、形式的なあいさつや対応に追われず、家族だけで落ち着いた時間を過ごすことができます。一方でデメリットとしては、葬儀後に知人や会社関係の方から「なぜ知らせてくれなかったのか」と不満を持たれるケースがあることが挙げられます。また、香典を辞退することも多いため、費用は全て自己負担となり、思っていたより高額になることもあります。事前に「どこまで知らせるか」「参列は受け付けるのか」などのルールを決めておくことが大切です。家族葬の費用相場と内訳のポイント家族葬の費用相場は、一般葬よりもやや安く、50万円から90万円前後が相場とされています。参列者が少ないぶん、会場費や返礼品、飲食費が抑えられます。また、祭壇も簡素なものを選ぶ傾向があり、必要最低限の内容にすることでさらにコストを下げることができます。主な内訳は、会場や祭壇で20〜30万円、僧侶へのお布施で5〜15万円、返礼品や料理で10万円程度です。香典を受け取らない場合、その分を見込んだ予算組みが必要になります。費用面だけで判断せず、心のこもった式にするにはどこに力を入れるかを家族で話し合うとよいでしょう。【一日葬】通夜を行わず告別式から火葬までを一日で一日葬は、その名の通り「一日だけ」で告別式から火葬までを済ませる葬儀の形です。通夜を行わず、時間や費用を抑えたいと考える人から選ばれています。高齢の遺族や、遠方からの親族が集まりにくい場合にも適している点から、近年選ばれることが増えてきました。儀式は簡素ですが、告別式ではしっかりとお別れができるため、「最低限の儀礼を保ちつつ、負担は軽くしたい」と考える方に適しています。最近では希望者が増えており、葬儀社でも対応プランが用意されていることが多いです。一日葬の特徴と具体的な流れ一日葬は、朝から夕方までの1日で完結する葬儀です。まず会場で告別式が行われ、読経・焼香・弔辞などの儀式が済んだあと、すぐに火葬場へ移動して火葬を行います。通夜がないため、前日からの準備や宿泊の必要がなく、スケジュール的にもコンパクトに収まります。遺族への負担が少ない反面、「きちんと弔えなかった」と感じる親戚や知人が出てくる可能性もあるため、あらかじめ事情を説明しておくことが望ましいでしょう。高齢者の参列や、遠方からの参加者が多い場合に向いています。一日葬のメリットとデメリット一日葬のメリットは、とくに年配の親戚などは、通夜を重視する傾向があるため、納得してもらう説明が必要です。通夜を省略することで宿泊や準備の手間がなくなり、仕事や家庭の事情で時間をとりにくい方にも対応しやすいです。また、費用もコンパクトに抑えられる点は大きな魅力です。反面、「通夜がないこと」に違和感を持つ人もいます。とくに年配の親戚などは、通夜を重視する傾向があるため、納得してもらう説明が必要です。また、1日にすべてを詰め込むため、式の流れがやや慌ただしくなる点もあります。体力に自信のない方や、丁寧なお別れを希望する方には慎重な判断が必要です。一日葬の費用相場と内訳のポイント一日葬の費用相場は、30万円から70万円程度が相場とされています。通夜にかかる費用が不要なため、一般葬や家族葬よりも全体のコストが抑えられます。祭壇の規模や料理の有無によって価格は変動しますが、比較的手頃な価格帯のプランが用意されていることが多いです。費用の内訳は、会場・式進行費が20万〜30万円、火葬費用が数万円、僧侶へのお布施が5万〜10万円前後です。料理や返礼品は必要に応じて追加されます。希望に応じてプラン内容を調整できるため、事前に葬儀社とじっくり相談するのがおすすめです。【直葬・火葬式】お通夜や告別式を行わない最もシンプルな形直葬(ちょくそう)または火葬式とは、通夜や告別式などの儀式を行わず、火葬のみで故人を見送る方法です。病院からご遺体を搬送後、必要な手続きを行い、火葬場でお別れをして荼毘に付す、といった流れになります。「葬儀にお金をかけたくない」「遺族が高齢で準備が難しい」「故人の希望で簡素な葬儀を望んだ」など、さまざまな理由から選ばれることが増えています。一方で、親戚や知人から形式を省略しすぎだと不満を持たれるケースもあるため、事前に理解を得ておくことが大切です。直葬・火葬式の特徴と具体的な流れ直葬は、亡くなった当日または1〜2日後に、火葬場で荼毘に付す、非常にシンプルな流れです。基本的には、病院などから遺体を安置所に搬送し、役所の手続きを経て、火葬許可証を取得します。その後、火葬場でごく短いお別れの時間を持ち、火葬となります。葬儀式は行わないため、会場の手配や僧侶の読経なども原則不要です。宗教的な儀式が必要な場合は、火葬前に少しだけ読経を入れるなど、希望に応じて簡易的に行うことも可能です。ごく身内だけで行われる、静かで簡素な形式です。直葬・火葬式のメリットとデメリット直葬の大きなメリットは、費用と手間が最小限に抑えられることです。葬儀会場の設営や準備、参列者への対応などが不要なため、遺族の負担はかなり軽くなります。また、忙しい現代人や高齢の親族が多い家庭にも適しています。反面、「きちんとした儀式がなかった」と感じる方がいる可能性があることが挙げられます。また、社会的なお付き合いのある方が多い場合、「連絡もなく火葬だけ済ませた」と批判を受けることもあります。選ぶ際は、周囲との関係性や、故人の考えをよく確認してから判断しましょう。直葬・火葬式の費用相場と内訳のポイント直葬の費用は、他の葬儀形式と比べてもっとも安価で、15万円〜30万円程度が一般的です。費用の内訳は、遺体搬送・安置費用が5〜10万円、火葬料金が数万円、骨壷や収骨容器の費用が1万円前後となります。僧侶を呼ばない場合はお布施も不要ですが、希望する場合は別途5万円程度かかることがあります。また、火葬場の場所や時間帯によっては料金が変動することがあるため、事前に確認しておくと安心です。葬儀社によっては直葬専用の低価格プランも用意されているため、複数社で比較して選ぶのもおすすめです。後悔しないための葬儀の判断ポイントどの葬儀が最適かを選ぶには、さまざまな要素を冷静に考えることが大切です。まずは、故人の遺志や希望があるかどうかを確認しましょう。それが最優先されるべき基準です。つぎに、家族や親族の意向や体力、準備の負担なども考慮し、話し合いを通して全体の納得を得ることが重要です。さらに、宗教・宗派のルールや地域の慣習がある場合は、それに従う必要があるかどうかも確認しましょう。そして、葬儀の費用や日程の都合も含めて、現実的に実行できる選択をすることが、後悔のない判断へとつながります。故人の遺志を尊重する葬儀の選択で最も大切なのは、故人が生前にどんな最期を望んでいたかを確認することです。「家族だけで静かに送ってほしい」「伝統的な仏式で執り行ってほしい」など、人それぞれ価値観は異なります。エンディングノートを残していたり、日頃の会話の中で意向を伝えていた場合は、それを最大限に尊重するべきです。遺族の希望が異なるケースもありますが、まずは故人の想いを出発点として話し合いを始めることが、心に残る葬儀につながります。家族・親族の意向をすり合わせる遺族の間で意見が分かれることは珍しくありません。「費用を抑えたい」「しっかり儀式をしたい」「親戚をどこまで呼ぶか」といった点は、それぞれ考え方が違うのが自然です。そのため、早めに話し合いの場を設け、全員が納得できるポイントを見つけることが重要です。また、式後に不満が残らないように、「なぜこの形式にしたのか」という理由を共有しておくと、のちの誤解も防げます。宗教・宗派や地域の慣習を考慮する仏教、神道、キリスト教など、宗教や宗派によって葬儀の流れや必要な儀式が異なります。また、地域によって「通夜は絶対に必要」「告別式の前に〇〇を行う」など、習慣に違いがある場合もあります。遺族や親族の中に、宗教的な意味合いを大切にする方がいる場合は、軽視せずにきちんと確認するようにしましょう。葬儀社によっては、特定の宗派に詳しいスタッフが対応できる場合もあるため、相談して進めるのが安心です。予算や日程の都合も重要な判断軸葬儀にかかる費用は形式によって大きく異なります。「できるだけ費用を抑えたい」「急ぎで行わなければならない」など、家庭の状況に応じて現実的な選択をすることも必要です。例えば、急なご逝去で準備の時間が限られている場合は、直葬や一日葬などのコンパクトな葬儀が適していることも考えられます。費用が気になる場合は、見積もりを複数社から取ることで、比較検討がしやすくなります。主要な葬儀の種類意外にも知っておきたいお見送りの形近年、葬儀のあり方は多様化し、一般葬や家族葬だけでなく、「自由葬」「音楽葬」「自然葬」といった、形式にとらわれない新しいお別れのスタイルも増えています。これらの方法は、宗教にこだわらず、個人の価値観や家族の想いを尊重して行われます。例えば、自宅で行う「自宅葬」や、自然に還ることを目的とした「樹木葬」や「海洋葬」などがあります。中には生前に自ら企画して行う「生前葬」も登場しています。自由葬の特徴と注意点自由葬とは、宗教儀式にとらわれず、故人の人柄や趣味に合わせて自由な形式で行う葬儀です。読経の代わりに故人への手紙を読み上げたり、好きだった音楽を流したりと、形式よりも気持ちを重視するスタイルが特徴です。自由葬はルールがないぶん、内容を自分たちで企画・準備する必要があります。また、宗教や慣習に重きを置く親族がいる場合、理解を得にくいケースもあります。事前の話し合いや、葬儀社との綿密な打ち合わせが大切です。音楽葬の特徴と注意点音楽葬は、故人の好きだった曲や、生演奏を中心に構成されるお別れのスタイルです。クラシックやジャズ、ポップスなどジャンルも自由で、故人らしい雰囲気を演出できます。宗教色のないセレモニーとして人気があります。演奏者の手配や音響設備などの準備が必要なため、会場によっては対応できないことがあります。宗教的な儀式が求められる場合は、別日に対応するなど工夫が必要です。費用も内容によって変動しやすい点に注意しましょう。自宅葬の特徴と注意点自宅葬は、文字通り自宅で葬儀を行う形式です。なじみのある場所で落ち着いてお見送りができる点が特徴で、高齢の家族がいる場合にも安心です。参列者が少ない場合に向いています。スペースや設備の問題から、祭壇の設置場所や火葬場への移動方法などに工夫が必要です。近隣住民への説明や、清掃・片付けも自分たちで行うことになります。事前準備と地域の理解が欠かせません。自然葬・樹木葬・海洋葬・宇宙葬の特徴と注意点近年、環境への配慮や個人の価値観の多様化により、自然の中で故人を見送る「自然葬」が注目されています。なかでも、樹木葬、海洋葬、宇宙葬といった個性的なスタイルは、「自然に還る」や「思い出を空へ届けたい」といった想いをかたちにできる方法です。ただし、法律や自治体のルールが関わることもあるため、事前の確認が欠かせません。以下に、それぞれの特徴と注意点を見ていきましょう。自然葬の特徴と注意点自然葬とは、遺骨を自然に還す方法で、樹木や海、山などに散骨するスタイルです。宗教にこだわらず、自然との一体感を大切にしたい方に選ばれています。環境に配慮した考え方として注目されています。法律上の規定や許可が必要な場合があり、個人で行うのは難しいです。専用の業者を通じて行うことが一般的で、手続きの確認と周囲への説明が重要になります。また、遺骨の一部を自宅に保管するなど、心の整理も必要です。樹木葬の特徴と注意点樹木葬は、墓石の代わりに樹木を墓標として遺骨を埋葬する方法です。自然と共生するイメージがあり、管理も簡素で費用も比較的安価です。霊園や寺院で行われるケースが多く、家族と一緒に入れる合葬型もあります。場所によっては埋葬後に遺骨を移せない場合があります。また、年配の方からは「お墓がない」と捉えられやすいため、家族とよく話し合っておくことが重要です。埋葬場所や永代供養の有無も確認しましょう。海洋葬の特徴と注意点海洋葬は、粉末状にした遺骨を海にまく葬法で、船に乗って散骨を行います。壮大な自然に還ることができるとして、近年人気が高まっています。海が好きだった方や故人の希望に沿う形として選ばれます。法律に基づいて許可された海域で行う必要があり、専門業者を利用するのが一般的です。天候や船の予約などの影響を受けやすいため、事前準備が必須です。遺族全員が同意しているかも確認しておきましょう。宇宙葬の特徴と注意点宇宙葬は、遺骨の一部をカプセルに入れてロケットで宇宙に打ち上げる葬送方法です。宇宙や科学にロマンを感じる方に人気で、生前予約して行う方も増えています。近年は数十万円からのプランも登場しています。特殊な手配や輸送が必要となるため、費用も高額になることがあります。また、宗教的な考え方や年配の方からは理解されにくいこともあるため、家族との十分な話し合いが重要です。社葬・福祉葬・生前葬の特徴と注意点葬儀には家族や親しい人だけでなく、会社や社会との関わりの中で行う形式もあります。たとえば「社葬」は企業が主催する葬儀、「福祉葬」は自治体の支援によって行うもの、「生前葬」は生きているうちに自身が主催するものです。それぞれの背景や目的が異なり、準備の内容や注意点も違います。以下に、各葬儀形式の特徴と注意点を整理してご紹介します。社葬の特徴と注意点社葬は、企業が中心となって行う葬儀です。経営者や役員などの社会的立場のある人に対し、会社が費用を負担し、社交的な意味を持つ場として行われます。取引先や社員など多くの人が参列します。準備には時間と費用がかかるため、社内での調整や社外対応が必要です。個人葬と分けて別日に行うことが一般的で、遺族との連携も欠かせません。実施には企業の理解と体制が求められます。福祉葬の特徴と注意点福祉葬は、経済的に困難な方が対象となる行政支援の葬儀制度です。自治体によって支給内容は異なりますが、最低限の火葬や安置を支援してもらうことができます。対象条件が限られており、事前の申請や相談が必要です。費用の補助範囲も限定されているため、どこまで対応してもらえるかを役所に確認することが重要です。生前葬の特徴と注意点生前葬(せいぜんそう)とは、本人が存命中に自らの意志で行う葬儀(お別れの会)です。感謝の気持ちを伝える場として、家族や友人、関係者を招いて開かれます。お別れの挨拶や、人生を振り返る演出などが行われることもあります。形式が自由なぶん、準備には時間と手間がかかります。また、参列者によっては戸惑いや違和感を抱く場合もあるため、趣旨や背景を丁寧に説明することが大切です。生前葬を行っても、亡くなった後の正式な供養や火葬は別途必要になります。葬儀の種類を選ぶ際のポイントと注意点多様な葬儀の形式を知ったうえで、実際に選ぶ際には「誰のための葬儀か」「何を大切にしたいか」という軸を明確にすることが大切です。故人の遺志を第一に尊重しつつ、遺族の体力・経済面、社会的な関係性などを考慮して、最も納得できる形を選びましょう。また、形式を重視しすぎるあまり、気持ちのこもらない儀式になってしまうのは本末転倒です。大切なのは、送る側と送られる側の想いがしっかり伝わる時間にすることです。そのためには、早めに準備を始め、必要であれば葬儀社や専門家に相談して進めるのが安心です。葬式の種類を正しく理解し、後悔のないお見送りを葬儀には、一般葬、家族葬、一日葬、直葬のような基本形から、自由葬や自然葬など、さまざまな選択肢があります。それぞれに特徴・費用・流れ・向き不向きがあるため、正しい情報を知り、家族でよく話し合うことが何より大切です。大切な人を見送る葬儀は、一度きりのかけがえのない時間です。「何を大切にしたいか」「どんな形で想いを伝えたいか」を中心に考えれば、自然と納得できる形が見つかるはずです。形式ではなく、心を込めたお別れを目指しましょう。お仕事が気になった場合は、アドバイザーに聞いてみよう!お仕事が気になる、話をもっと詳しく聞きたいという方はお気軽に「葬儀のおしごと」にお問い合わせください。業界に精通したアドバイザーがお仕事について詳しくご説明いたします。